いきなり入院した。僕にとってはちょっと早い冬休みみたいなもんだ。病院には同い年の里香って子がいた。彼女はわがままだった。まるで王女さまのようだった。でも、そんな里香のわがままは必然だったんだ…。里香は時々、黙り込む。砲台山をじっと見つめていたりする。僕がそばにいても完全無視だ。いつの日か、僕の手は彼女に届くんだろうか?彼女を望む場所につれていってあげられるんだろうか―?
これはなんでもない話だ。
男の子と女の子が出会う、ただそれだけの話だ。
付け加えることはなにもない。
もちろん――。
僕たちにとっては、本当に本当に特別な話だけれど。
恋愛小説の中で最も好きな本。
細やかな描写、切なさ溢れる文章、構成、素晴らしすぎる。
胸がゆっくりと締め付けられ、感動。
数々の名シーン、名言があるが、その内個人的に好きなもの挙げると
「今宵あなたが窓辺に立たれ、その姿を見せてくれるならば、わたしはただそれだけで幸せでしょう。世界の端から端までの幸せを合わせたものを、すべて手に入れるでしょう」 (秋庭里香/8巻)
これは、里香が劇にでることになり、その中のセリフの一つなんですが、なんて上手い魅せ方をするんだと、思いました。なぜ、劇にでることにしたのかが、伝わってくる隠れた名言だと思います。
半分の月がのぼる空―looking up at the half‐moon (電撃文庫)
- 作者: 橋本紡,山本ケイジ
- 出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2003/10
- メディア: 文庫
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